モデルルームなどでよく見る階段は、オシャレなリビング階段。我が家もあんな風にしたいな…と夢は膨らみますよね。
でも、リビング階段には、大きなデメリットがあります。それはリビングから階段がそのまま2階に続いていくので、「冷暖房の効きが悪くなる」「音・匂いが通りやすい」という点です。
家の階段は、種類や形状、吹き抜けありなしなど、掛け合わせ次第で、様々なタイプができます。そのタイプによっては、冷暖房の効きが悪くなる、寒さ対策のデメリットを軽減できる対策もあります。選択肢が沢山ある事を知っておきましょう。そして、その決め方の手順とメリットデメリット等をふまえて、どんな階段を作るべきか、後悔しないお家づくりを考えていきましょう!
図解で見よう!階段の種類と決め方
図解で見ると、こんな感じ。
まずは①配置「ホール階段」か「リビング階段」か決める。
次に②吹き抜けの有無を考える。
次に③階段の種類を選ぶ。
あと④の階段の形状は間取りに合わせて考える。
重要なのは、各項目にあがるメリット・デメリットの確認です。その部分をみていきましょう!
①間取りの配置
あなたは「リビング階段」「ホール階段(廊下階段)」どちらを選びますか?
「リビング階段」とは、リビングの中に階段がある間取りの事です。近年こちらが多くなりつつありますが、デメリットを把握せず、後悔する事例も多くあります。
「ホール階段」とは、玄関から入って、そのまま階段がある間取り。又は、廊下がありそこから登る間取り。つまり、リビングに入らずに、階段を登っていく間取りですね。
では、メリット・デメリットを確認していきましょう。
「リビング階段」のメリット
<家族とのコミュニケーションが増える>
リビングを通って、自分の部屋に行くので、子どもがどんな感じで学校から帰ってきたのか、感じれる安心感はありますよね。また、そこで会話もあるかもしれません。リビング階段の場合、接する機会が多くなるので、コミュニケーションは増えていくことが多いでしょう。
<リビングの間取りを広くとれる>
リビング階段と廊下階段を比較した場合、リビング階段だと、廊下階段の廊下分のスペースがリビングとして使えるので、空間は必然的に広くなります。
<オシャレなリビングにしやすい>
リビング階段にして、上記図の②吹き抜け→あり、③の階段の種類→オープン階段などにすれば、モデルルームのような、デザイン性あふれるリビング、開放的な空間、オシャレな空間などを作り上げやすくなります。
「リビング階段」のデメリット
<冷暖房の効きが悪くなる>
リビングの中に階段があるので、冷暖房はそのまま2階へ流れていってしまいます。(吹き抜けがあれば、そこにも流れていきます)特に冬、冷気が下にたまるコールドドラフト現象が起きるので、暖房をつけても2階へとにげていってしまい、なかなか部屋が温まらず、光熱費がグンとあがることとなります。見栄えはいいけど、ランニングコストの光熱費があがるのは苦しい…空調の事なんて考えてなかったという後悔する事例はよく聞きます。
<音や匂いが伝わりやすい>
リビングから2階の部屋まで扉や仕切りがない為、音や匂いが伝わりやすくなります。例えば、テレビの音、電話の話声が、まぁまぁ聞こえます。住んでみないと分からない部分かもですが、その覚悟が必要にはなります。
~すぎさんちの場合~
すぎさんちは、クーラーをつけずに風を通して寝たい時期は、寝室の扉を開けます。その時、下のテレビの音がすごく聞こえてくるので、ボリュームは●●にしてね。と制限をかけたり、電話の笑い声がうるさーい!となったり…してます。ちょっとしたストレスですね。
お料理の匂いも2階にあがりやすいので、気になる方は、間取りの配置(キッチンと階段の位置)をちょっと考慮した方がいいですね。
<プライバシーの確保が難しい>
「どんな時も2階へあがる為には、リビングを通らないといけない」これってデメリット?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、
・来客 × 親の知人 × 子どもの気持ち
子どもが帰宅時に、親の来客と顔を合わせたくない時もあります。ホール階段なら「ただいま」の声だけで、2階へあがれるのにリビング階段の場合は、嫌だなと思いつつ「…こんにちは…」と無愛想に通り過ぎる子どもはストレスかもしれません。
・来客 × 子どもの友達 × 親の気持ち
親がリビングでくつろいでいる時、子どもの友達がワイワイ遊びに来て、ホール階段なら「いらっしゃーい」だけの声で、2階へそのままあがれるけど、リビング階段の場合、散らかってるリビングに入って、くつろいでる状態を見られ、通られるだけでも、ストレスになるかもしれません。
・子どもの思春期
思春期に入った子どもにとっては、家族と顔をあわせたくない時もあります。顔を合わすだけで、小言を言いたくなる時期、機嫌が悪い時期、色々あるので、2階へそのままあがれる事がいい場合もあるかもしれません。
「ホール階段」のメリット・デメリット
ホール階段のメリット・デメリットは、リビング階段のメリット・デメリットの逆の事となります。
ホール階段のメリットは、扉で仕切られているので、冷暖房は流れていきませんし、音・匂いも止めることが可能です。また、プライバシーの確保もしやすいです。
デメリットは、間取りがとられる事、家族とコミュニケーションをとらずに自分の部屋に行けてしまう事です。コミュニケーションの部分に関しては、これを良いとするのか、良くないとするのかは、子どもがどんな風に成長するのかもわかりませんし、親御さんの考え方にもよるところなので、一概には言えない部分かと思います。
②吹き抜けは あり? なし?
吹き抜けは、「ホール階段」でも「リビング階段」でもどちらでも組み合わせる事ができますが、ここでは「リビング階段」に焦点をあてたいと思います。
吹き抜けをありにした場合、場所によっては気持ちいい日差しも入り、開放感があり、オシャレなお家になります。リビングの上を吹き抜けにしたり、リビング階段の上を吹き抜けにしたり、組み合わせは色々です。オシャレなモデルルームの多くは、吹き抜けを取り入れてますね。
吹き抜けのデメリットを確認した上で、採用ならば家の方角や間取りを見ながら、吹き抜けの最適な場所を設計士さんと相談されるのがいいかと思います。
<2階部分の間取りが狭くなる>
必然的に、2階の間取りが狭くなります。大きいお家はそれほど気にならないかもしれませんが、狭いお家は死活問題ですね。対策として、子どもが大きくなり部屋が必要になった時、その吹き抜けをつぶして2階の子ども部屋にリフォームする事を念頭に作る事もできます。
<冷暖房の効きが悪くなる>
これは覚悟しないといけない部分です。冷暖房の効きが悪いという事は、光熱費が高くなるという事です。対策として、吹き抜けの天井にファンを取り付けて空気の循環を良くする事を忘れずにしてください。
<音・匂いが通りやすくなる>
リビング階段だけでも、このデメリットは出てくるのですが、吹き抜けとなると、音・匂いの通りやすさはさらにアップします。
③階段の種類は?
「箱型階段」とは?
箱を積み重ねて作られたような階段の事です。昔からあるスタンダードな階段です。メリットとしては、この階段下のスペースをトイレにしたり、収納を作れたり活用できる点です。後、寒さ対策もしやすいです。
◆デメリット
スタンダードな形でオシャレ感はない。
「ひな壇階段」とは、
階段の側面を露出させ、横から見た時にひな壇と見えるような階段の事です。スチールの手すりなどにすれば、オシャレ感はグッとあがりますね。
◆デメリット
・費用がアップ
・寒さ対策が難しい
・子どもの転落の危険性(形状による)
「オープン階段」(スケルトン階段/ストリップ階段)とは、
段差と段差をつなぐ、縦の板がないデザインの階段です。
骨組みだけのデザインで、スタイリッシュでオシャレ感は、かなりあがり、憧れる方も多いですね。壁がないところにでも、設置可能な点も特徴です。
◆デメリット
・子どもの転落の危険性
・スカートで上がる場合、下からパンツが見えそうになるのが気になる事
・費用がアップ
・寒さ対策が難しい
子どもの転落に関しては、落下防止ネットもあるようなので、数年の間はそれをして対策もありですね。
吹き抜けの有無と、この階段の種類によって、寒さ対策ができる、できないが決まってきます。
「リビング階段」で「寒さ対策」をする方法
手段は3つ
・ロールスクリーンを設置する
・カーテンを設置する
・扉を設置する
この対策をしようとした時、階段の種類によっては設置できないケースがでてきます。
・ロールスクリーンは箱型階段で、両側が壁でないと設置できません。
・カーテンも箱型階段で、両側に壁、またはL字の空間を埋めるような形でないと設置できません。
・扉は、設計士さんの間取り次第です。
すぎさんちの事例です。オシャレな階段はあきらめて、でもリビング階段を採用。最初は箱型階段でもオシャレにできないものかと、あれやこれや考えました。
壁を半分無くして、見えるようにしようかと思ったりしましたが、窓のようにくりぬいて、子どもが顔出したり、ちょっとした飾り物を置いたりしよう!と決めて施工にかかりました。ですが、建築途中、現場の人に「冷暖房が上にいくよ?やめといた方がいい。」と言われて、「確かに!!!」設計士さんは教えてくれなかった事でした。途中から、くりぬきを埋めて壁にしてもらった経緯があります。施工時に手土産をもって、現場に何度も足を運んで、良かったと思う事例の1つでした。
寒さ対策を重視して、ロールスクリーンを設置する設計で建てました。カーテンや扉などの対策方法もありますが、カーテンよりロールスクリーンの方がスッキリします。このロールスクリーンを壁だと思って、手をつこうとしたお客さんも何人かいます。そのぐらい、違和感なく馴染みます。
両サイドが壁になっていないと、このロールスクリーンの案は無しになってしまいますので、ご注意ください。
このロールスクリーンは、付ける事前提で設計したので、天井にロールスクリーンのBOXを作ってもらいました(写真参照)。そしてネジ打ちができるように、壁にはべニア板の下地をいれてもらいました(下記、記事参照)。
突っ張りのロールスクリーンもありますが、子どもが引っ張り、落ちてしまうかもしれませんし、できるならネジ打ちの方が安心ですね。
扉を付ける対策の方が、気密性の点では良いかもしれませんが、後は見た目と予算との相談になるかと思います。下記ルームクリップで「リビング階段」の寒さ対策として、ロールスクリーン、カーテン、扉など色んな実例がありますので、是非ご参考にして、後悔のない家づくりをしていきましょう!